2023年10月10日(火)待望の第7巻が発売したマンガ『セクシー田中さん』
2023年10月22日(日)から日テレ系で、木南晴夏さん主演のドラマ化が決定したことでも話題ですよね!
芦原妃名子さんのマンガといえば、代表作でドラマ化した『砂時計』など、シリアスで繊細な心理描写に優れた作品が多くあります。
今作の『セクシー田中さん』も、笑える要素が満載ですが、根底では深い心理描写も描かれていて読みごたえ抜群です。
そこで今回は、ドラマ化が決定した芦原妃名子さんの『セクシー田中さん』について。
原作の魅力と、ドラマでもたどることになると思われる最新刊の感想までをご紹介していきたいと思います。
『セクシー田中さん』とは?
『セクシー田中さん』インパクトのあるタイトルですが、これは女性向けマンガなのか??と、ちょっとドキドキしちゃうタイトルですよね。
すごく妖艶なお姉様でも出てくるのでは??と(笑)
ご安心ください!
妖艶なお姉様ではありますが、タイトルに出てくる田中さんは普段は妖艶とはかけはなれた地味なOLです。
「経理のAI」と呼ばれる田中さんは税理士の資格をもつほど仕事のできる40代OL。
しかし周囲とのコミュニケーションはほぼなく、変わり者として社内でも浮いた存在です。
「ああいうアラフォーにはなりたくない」と噂される田中さんですが、同じ社内にいる倉橋朱里(くらはし あかり)は、田中さんのことが気になっていました。
『田中さんの体型は普通じゃない』(ラインが綺麗すぎる)と。
田中さんとは対照的な恋愛脳ゆるふわ女子の“キャラ”で生きている朱里。
自分の市場価値を冷静な目で眺めつつ、23歳という若さと可愛さを武器に安定的な生活を手に入れようと婚活に明け暮れる日々を送っています。
しかし一方で、そんな自分に虚しさを感じることも…。
そんな朱里はある日、ペルシャ料理店で踊る魅力的なベリーダンサーsaliと出会います。
首から肩にかけたライン・腰・美脚・ヒップライン!これはまさに田中さん‼(と分かってしまう朱里!さすがです…笑)
すっかり田中さんファンになった朱里は、職場や私生活でも田中さんに夢中。
ついには田中さんと同じベリーダンスまで始めます。
そして、田中さんと出会ったことで朱里の世界は変わりはじめて…。
地味で真面目。
だけど優しさと芯の強さをもった魅力的な女性の田中さん。
田中さんと出会うことで変わっていく朱里をはじめ、その周りの登場人物たちの変化が実に見事に描かれている作品です。
ドラマ版『セクシー田中さん』のキャストは?
ドラマ版『セクシー田中さん』では、一番初めに田中さんのキャストが発表されました。
もちろん田中さんが魅力的でないとはじまらないのですが、原作の主人公はどちらかというと朱里の気がします。
朱里の視点を通して見た田中さんと、その田中さんとの交流で変わっていく朱里の姿を描いている比重が多く感じます。
田中さんも朱里や他の人との交流で変わっていってることは間違いないのですが。
★田中京子(たなかきょうこ)/木南晴夏(きなみはるか)さん★
仕事はできるが恋愛や友達とは無縁の人生で、周囲からは変わり者の目で見られている。
本人もそれを感じており、コンプレックスを抱いている。
35歳の誕生日に胸を張れる生き方をしようと生活を見直し、ジムに通った際に勧められたベリーダンスを始めることに。
ベリーダンスを通じて出会った三好圭人に密かな恋をしている。
★倉橋朱里(くらはしあかり)/生見愛瑠(ぬくみめる)さん★
愛され女子キャラだが、実は超現実主義者。
“普通の生活”を送るには派遣社員の自分の収入では無理だと、安定を求めて婚活に力を入れている。
しかし、本気で誰かに好きになってもらえたことはないとコンプレックスも感じている。
★笙野浩介(しょうのこうすけ)/毎熊克哉(まいくまかつや)さん★
大和撫子的女性を理想とするこじらせ中年男子。
思ったことを考えなしに発言するので、女性に対する失言も多い。
★仲原進吾(なかはらしんご)/川村壱馬(かわむらかずま)さん★
大学時代からの朱里の男友達。
朱里の好意を知りながら一度だけ関係を持った過去が。
責任を持ちたくないゆえに『友達』を隠れみのに都合のいい時だけ現れる。
★三好圭人役(みよしけいと)/安田顕(やすだけん)さん★
ペルシャ料理店Sabalanのマスター。
別居中の妻がいるが、女の子大好きなチャラいおじさん。
田中さんの想い人。
★小西一紀(こにしかずき)/前田公輝(まえだごうき)さん★
朱里が合コンで出会った広告代理店勤務のチャラリーマン。
女性が好むものに敏感で、女心を掴むのが得意。
ドラマ版『セクシー田中さん』はマンガの何巻までおこなう?
ドラマ版『セクシー田中さん』は2023年12月5日発売の『姉プチ1月号』で掲載の最新作(8巻収録?)までを元に作成されているようです。
最新作以降はドラマオリジナル展開になるようですが、すべて原作者の芦原妃名子さんが監修されているとか。
キャラやあらすじ等、原作から大きく逸れたと私が感じた箇所はしっかり修正させて頂いてるし、(恐らくめちゃくちゃうざかったと思います…。)
物語終盤の原作にはまだないオリジナル展開や、そこに向かう為の必要なアレンジについては、あらすじからセリフに至るまで全て私が書かせて頂いてます。恐らく8話以降に収録されるはず。
色んな実写化への関わり方があると思いますが…あれこれ悩みつつ今回はこういう形をとらせて頂く事になりました。
『セクシー田中さん7巻』 芦原妃名子さんコメントより
『セクシー田中さん』の原作の世界観を壊すことなく展開されることが期待できるので、原作組も安心して見ることができるのが嬉しいですよね!
ちなみにドラマの展開にも絡んでくる最新刊8巻の発売は、ドラマ放映後の来年だそうです。
ドラマと原作は異なる展開で続いていくということで、原作からも目が離せませんね‼
『セクシー田中さん』の魅力は?
タイトルのインパクトもさることながら、テンポのいいストーリーで魅了してくれる『セクシー田中さん』
ここからは『セクシー田中さん』の魅力をご紹介したいと思います。
ベリーダンスや中東文化が素敵
『セクシー田中さん』こと田中さんが真剣に取り組んでいるベリーダンス。
物語のキーアイテムなので、ベリーダンスがストーリーのメインテーマというわけではありません。
ただ、中東の打楽器ダラブッカのダ・ダンという音に合わせて踊る魅惑的なベリーダンスの様子がところどころ登場。
豊満な肉体美を余すとこなく披露しつつ、しなやかに表現されるダンスは生で見てみたいなぁと感じます。
また、『セクシー田中さん』に出てくるペルシャ料理店Sabalan(サバラン)も素敵!
店内では頻繁にベリーダンスショーが開催されて、美味しい料理を食べながら鑑賞できる。
六本木に位置するお店なので良いお値段がしそうですが、くるみと鶏肉の煮込み料理フェセンジュンが食べたくなります(笑)
ギャグが秀逸!
『セクシー田中さん』は繊細な心理描写が魅力的に描かれています。
ただ、心理描写が優れている作品は重い作品にもなりがち。
『砂時計』や『Peace』はどちらかというと、かなり重い作品ではありました(個人的にはそういうところが好きなんですが)
しかし『セクシー田中さん』は、ギャグパートとシリアス部分の塩梅がちょうどいい!
朱里が進吾と関係を持った翌日になかったことにされてしまう過去の回想後、田中さんに会うことで勇気づけられる。
田中さんがベリーダンスをはじめたきっかけを語ってシリアスになったかと思うと、笙野の失言に復習を誓う朱里パートが始まる。
愛されキャラを作りながらも、本当はキャラじゃない素の朱里が魅力的なキャラクターだからこそなせる展開なのかなと。
それから『セクシー田中さん』ではクスッと笑える小ネタも…。
田中さんが通うベリーダンス教室に朱里がダンスを習いに行くと、
「ついに…こんな所まで…!!恐ろしい子…!!」と月影先生(某ガラスの仮面)になる田中さん(笑)
また、田中さんが飼っているハムスターの名前はときめきトゥナイトからとった「真壁くん」だったりします。
田中さんを中心に変わっていく人物描写が秀逸
『セクシー田中さん』に出てくる登場人物、特に男性キャラはみんな一癖ありすぎて正直誰も選びたくない(苦笑)
と思っていたのですが、巻を追うごとに成長を感じさせてくれます。
実に人間らしいしょうもないところも多い登場人物たちですが、それぞれのキャラが抱える根底のエピソードはどれも丁寧に描かれていきます。
それが物語に厚みを感じさせる。
『砂時計』や『Peace』などの代表作もそうですが、芦原先生の作品は本当に心理描写が上手。
女性を見下した笙野やズル賢い進吾、あんなにチャラくて魅力を感じなかったチャラリーマンの小西でさえ、回を追うごとにどんどん興味深い魅力的なキャラクターになっていきます。
まさかの三好さんまで…。
そして田中さんとの出会いで変わっていく朱里と、その朱里や田中さんと関わっていくことで変化していく男性キャラクターたちの描き方がまた見事。
朱里や周囲の男性キャラクターによって田中さん自身も変わっていきます。
誰かを変えることはできない。
でも、自分が変わることで見えてくる世界は変わる。
『自分を助ける最良の人は自分』ということを知って、体現している田中さん。
背筋を伸ばして自分を生きることを大事にしている田中さんの魅力は、周囲を変える力まで持っています。
一読者としても、年齢関係なく魅力的な田中さんのようにぶれない自分をもって生きていきたい。
そんな勇気を感じさせてくれます。
【ネタバレあり】『セクシー田中さん』最新刊7巻の感想は?
ここからは『セクシー田中さん』の原作既読の方向けに。
ネタバレを含んでいるので、まだ知りたくないという方はご注意を‼
前巻6巻で田中さんとデートを果たし、良い感じになっていた笙野と田中さん。
しかし、まさかの笙野母の登場で雲行きが怪しくなり、突然出てきた女性と結婚前提交際を始める笙野なのでした。
そしてなんと7巻では田中さんが三好さんと?!
あまりの急展開に初見では頭がついていきませんでした。
いや、「ローマの休日」から「ラ・マン」までのくだりは超笑ったのですが‼(笑)
個人的には朱里と同じく、成長してきた(?)笙野と田中さんはお似合いだと思っていたので…。
それこそダラブッカを演奏する笙野とベリーダンサーになった田中さんの二人で中東のあちこちを旅するのもいいんじゃないかなと。
ただ、長年の想い人・三好さんも田中さんに本気で向き合う覚悟があるようなので、三好さんと田中さんの行方も見守っていきたい気はします。
もしかしたら三好さんを経て、笙野と田中さんという道もあるのかもしれません。
または三好さんと田中さんがこのまま中東へ放浪の旅に出る可能性もあるのでしょうか?
(でも三好さん、お店あるしなぁ…なんて)
それから朱里とチャラリーマン小西も進展。
1巻登場時は二股で即退場と思われた小西。
まさか朱里と付き合うようにまでなるなんて…。
進吾にも認められて今のところはなんの問題もなさそうです。
ただ、友達の助言で初めて結婚を意識する小西なので、その辺で何か変化が出てくるのかもしれません。
朱里は小西に素をみせきっていて、小西もそれをすべて受け入れた上で付き合っているのでうまくいきそうな気もするのですが。
チャラリーマンの印象が強かった小西ですが、仕事はできそうだしコミュ力高いし、意外と頼りがいがあるようで朱里の結婚相手条件ともかけ離れてはいない?
こちらの行方も気になるところです。
そして、ドラマではこの続きの8巻からのオリジナルストーリーになるとのこと。
原作がまだ続いていくようなので、誰かとのその後というよりはそれぞれの日常生活が描かれた最終回になるのかなぁと予想するのですがどうでしょう。
まとめ
ドラマ化が決定した芦原妃名子さんの『セクシー田中さん』について。
原作の魅力と、ドラマでもたどることになると思われる最新刊の感想までをご紹介してきました。
魅力的な田中さんと、田中さんを中心に変わっていくキャラクターたちの心理描写が繊細に描かれた『セクシー田中さん』
ドラマ第1話は原作に忠実で、田中さんも周りのキャラクターもピッタリの配役で今後が楽しみになる展開でしたね。
ドラマの行く末も原作からもますます目が離せない『セクシー田中さん』に注目していきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。